ぼーしやJAM工房

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森のスケッチ-8

感激?白い世界
都会地から来たある学生がこんなことをいいました。
「雪下しを是非やってみたいのです。1度やらして下さい」
ニヤッと笑いながらぼくは答えました。
「いいよ。いつでもどうぞ。雪はいっぱいあるからいつでもいいよ。いまからやろうか」
「いまから‥‥‥」
彼は眼を輝かせました。
屋根には1メートル以上の雪が積もっています。雪下しをしなくてならない時期です。2人は屋根に登っていきました。
「すごい」
見渡す限り白の世界です。彼は感激して大きく深呼吸しました。屋根から雪をぽんぽん下に落とします。10分もやると汗が出て息がきれます。腰が痛くなります。
「もうそろそろですね。」
「まだまだ、上が終わったら下の雪も片付けなきゃ」
「えっ、下も‥‥‥」
雪は大きな雪用のシャベルやスノーダンプというのを使って片付けます。1時間もたったでしょうか。だんだん口数が少なくなり、歯をくいしばっていた彼はついに音をあげてしまいました。
「もうかんべんして下さい」
そんなことがあってから、彼は雪下ろしのことはいっさい口にしません。
雪下ろしと雪かきは雪国で1番きつい冬の労働です。毎日それをくり返さなければなりません。ところが春になると冬中きつい労働をしていた雪は跡かたもなく消えてしまいます。だからそのむなしさが余計きつさを感じさせるのでしょう。

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こちらは穴掘り
山里の雪は平均1メートル50センチくらい積もりますが、山へ行くと3メートル、5メートルと積もります。3メートル積もると平家ならすっぽり雪の中へ埋ってしまいます。
こうなると同じ雪下しといってもやり方が違ってきます。
ずっと同じ状態で家がすっぽり雪の中に埋りぱなしなら、あまり問題ないのですが、雪はしまってくるし、とけて氷になります。それでも屋根の上と下の雪が地上までつながっていれば、まだいいのですが、天気がよかったり、しばらく雪が降らなかったりで、雪がとけてくる時が危険なんです。
屋根を上から押す力と、軒の下の氷になった雪のひっぱる力とが加わると大変な重力になります。その力で軒を折ってしまうのです。折れるだけでなく、雪が吹き飛ばされて、重さが片寄ったりしますから、重量がアンバランスになり、家がゆがんで、つぶれてしまうことがあるんです。
こういう場合は、軒から上の雪と下の雪を切っておかなければなりません。そして屋根の上の雪は、そこに穴を掘るように、わきにほうり上げるわけです。
こうなると同じ雪下ろしでも労働力は倍加します。雪下ろしではなく、”雪上げ“ と 雪切り“といったほうがいいかもしれません。
特に春にはこの“雪上げ“と“雪切り”が絶対必要です。ほっといてつぶれた家は何軒もあります。家を造るにも太い柱を、長い間隔を置かずに入れておく必要があるわけです。
雪国に住むには、都会地と違った知恵と工夫が必要ですね。

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落しもののヤマ
スキー場にはリフト支えている鉄柱が何本も立っています。その鉄柱にしわくちゃな紙がへばりついていました。
「こんなところに紙がへばりついて‥‥‥‥」
きたないなと思いながら、何気なくそれをはがしました。
「なんと! 1万円札なんだよ」
4月上旬になると、冬中にぎやかだったスキー場も閑散として、リフトも止まります。
さて。そのあとスキー場へ行くと、落としもののヤマなんです。時計、ライター、100円、50円、10円玉。雪の中へ落とすもう見つかりません。10000円札はきっと風に吹き飛ばされて、鉄柱にはりついたんですね。あなたも落としものにはくれぐれも気をつけて下さい。

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