生きている石のこころ
ある老人がこんなことをいいました。
「山へ行く時は石を持って上れ」
山は少しでも背が高くなりたいから 石を持っていって積み上げてくれば、山の神様が喜ぶのです。
「山の石は小石1つでも持って下っちゃいけないぞ」
そんな山への気持ちが石に移し変えられ、昔から石に対する気持ちが育てられてきたのでしょう。
石像であったり、お地蔵さんであったり、そのほかにもいろんな形をした石があります。都会地ではほとんど見かけませんが、山や山里を歩くと、方々に人々の祈りをこめた石があります。いまでは そこにどうして立てられたのかわからない石像も沢山あります。
太い木の根元に立っていたり、村の堺や道の分れるところにあったりします。
ある時 道角の大木の下に立っていたお地蔵さんの頭がとれていました。。そんな時は何か暗い気持ちがします。
ところがその次そこを通ったら、この前はなかったあたまがちゃんとついていました。前よりやさしい顔になったようです。誰かが新しく作ってつけたのでしょう。花もそえてありました。
石への心は山里の人々の中にいまも生きています。