ぼーしやJAM工房

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森のスケッチ-3

”えのき“の親
“えのきだけ”(しめじ科)というのをご存知ですね。
「知ってるさ、馬鹿にしちゃいけない。白い、ひょろひょろと細長いい奴だろ」
そうです。歯ざわりもいいし、冬は水たきなどによく使います。
でもあれは えのきだけのもやしです。
「もやし?」
ええ、太陽の光にあたらない “栽培えのきだけのもやし” です。
「じゃあ、本当のえのきだけってどういうの?」
もやしでもにせものじゃないけど、えのきだけの大きいのは、高さ10センチ弱、茎の太さも7〜8ミリ、かさは直径6〜7センチかさの表面は赤茶。
自然のものは香りもいいんです。

きつねと人間
植物の名前にはよく動物の名前が登場します。鳥も出てきます。例えば “さるとりいばら” (ユリ科)、 ”やまほととぎす“ (ユリ科) 。 ”つるりんどう” (りんどう科) のことを “きつねのちょうちん” といったりします。
キノコの名前にも動物が登場します。
きつねたけ (シメジ科) 、むじなたけ (ヒトヨタケ科)、いたちたけ (ヒトヨタケ科)。そうかと思うとこんな名前もあります。きつねのちゃぶくろ (ホコリタケ科)、たぬきのちゃぶく (ホコリタケ科)。ほんしめじ (シメジ科) のことをねずみしめじといったりします。
色が似てるんです。中でも一番多いのは “きつね ” のようです。それだけ愛きょうがあるのでしょうね。

雪の正体‥‥‥
ある日高原を歩いていたのです。山の上から一陣の風が吹き下ろしてきました。
「おお、寒い」
ひとりごとをいったその時です。ぼくは降りしきる雪の中に立っていました。雪はひらひらと降り続けます。北信五岳特有のふわりと軽い雪です。
「やっ、雪だ」
思わず空を見上げました。
どうも様子が違うんです。これから登って行こうと思っている山あいにひょろ長い一本の棒が立っているのです。
「あっそうか、おおうばゆりだ」
雪はそこから風が運んで来たんです。おおうばゆり (ユリ科) のタネです。そのゆりの茎は4センチほどもあります。高さは2m近く。真直ぐ空に向かって立ちます。その先に大きな花をつけます。
夏花を咲かすと、長さ5センチもある大きな実をつけます。その中に沢山のタネが入っているのです。タネには白くすきとおる羽がついていて、風が吹くとまるで雪のように飛び散るのです。
そのままたち枯れた姿は、おとぎの世界の門番のようです。

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