赤ふさすぐり、黒ふさすぐり、こまがたけすぐりといろいろの種類がある。種類により花期や実のつく時期もづれるが、初夏から初秋につける実を生のままで食べると甘酸っぱく、ジャムや果実酒にするとすばらしい味である。
1983、7 池宮 健一
赤ふさすぐり: ヨーロッパ原産で ユキノシタ目、スグリ科。明治期にヨーロッパから導入されたらしいです。北信濃の多くの農家の庭には この赤ふさすぐりがありました。梅雨の最中の七月の初めに赤くなる ふさ状の実が 雨に濡れて なんとも綺麗です。
これを近所の農家から 頂きました。酸味が心地よく 綺麗な透きとおったジャムができた時 とても大きな発見をしたように感じました。
黒ふさすぐり: (ブラック・カーラント、カシス)ヨーロッパ原産で ユキノシタ目、スグリ科。黒ふさすぐりも 海外から導入された果物です。これも七月に完熟して黒紫のふさ状の実がなります。 ブルーべリーと収穫が重なることもあって 農家に栽培を頼んでもあまりいい顔をしてくれません。「勝手に取りに来い」と言われて 毎年 子供も連れて黒くなった実を摘みに行きます。ブラックカーラントを煮ている匂いが キライ!と言う人も多いですね。香りが青いのかな?
アメリカでは ブラックカーラントが松の病気を運んだために 今はもうほとんど栽培されていないようです。
コマガタケスグリ: ユキノシタ目、スグリ科。これは日本固有のすぐりです。山の中を犬を連れて歩いていて 随分山を分け入った奥の小さな沢のほとりに 房になった白っぽい実を見つけたのです。房すぐりだとすぐに分かりました。直ぐに熟していそうな所を食べてみます。ものすごく酸っぱい。家に 持ち帰り何日も眺めていました。 実の形は丸みを帯びているのですが先がとんがっています。眺めている時間の 楽しいことと言ったら無いのです。話しをすぐりとしたり、何かを感じあったり、知り合う喜びみたいな事かも知れません。結局ジャムにはしませんでしたが コマガタケスグリとの時間は貴重な体験でした。