ぼーしやJAM工房

ぼーしやJAM工房からのご案内です。

湖のうた

歌え!森の奥深く、まんまんと水をたた
え、歴史と伝説を秘め、黙々と語らぬ湖よ。
山と緑と光をちりばめ、すみきった風のた
よりを乗せ、静かにほほえむ湖よ。お前のう
たをこの大空へ舞い上げよう。

湖底からの音楽
「きれいな音楽が聞こえてきたよ」
「え?」
「湖の底から‥‥‥」
「?」
野尻湖にこんな伝説がある。
野尻湖には48も岬がある。大崎、砂間が崎、琵琶が崎、寺が崎‥‥‥。こんなに岬の沢山ある湖は日本でも珍しい。面積では長野県下で一番大きい湖は諏訪湖だが、湖岸線の長さからいうと野尻湖は諏訪湖の3倍もある。岬の1つに竜宮崎というのがある。この近くが野尻湖では一番深い。水深40数メートルもある。
この底に湖の主である大蛇が昔宮殿を作った。宮殿で時々演奏会を開く。丁度その日湖の上を通ると、聞こえてくる‥‥‥。
宮殿は今でもあるのかもしれない。あるいは美しい音楽を聞いた人がいるかもしれない。

ノッシーがいた
「あれは間違いなくノッシーだ。山から何気なく眺めていたら、すーっと島みたいのが2つ浮かんだ。それでも別に気にしなかったんだけど、いつの間にかそれが消えて、そのあとにボートが来たら、そのボートが小さかったこと。それで気がついたの。あれは間違いなくノッシーだ」
その人は息をきらしながら一気にそこまでいった。でも悪いけれどその話はまだ信じられていない。
「 しかし本当かもしれないよ。竜宮が渕の一番深いところは誰ももぐった人はないんだから。いまでも竜宮の主がいるかもしれないよ」
そう誰かがいった。
湖面では夏の風を帆一杯に受けてヨットがすべるように竜宮が渕の上を横切っていった。

ひめ鱒が自然ふ化
鱒(サケ科)の1種にひめ鱒というのがいる。肉は赤くベニザケが川や湖に閉じこめられた(陸封)ものである。きれいな水にしか住まない。だからこのひめ鱒がいるかいないかが水の純度、美しさを測る1つの基準になる。
野尻湖で体長41センチもあるひめ鱒が釣上げられた。もう随分前野尻湖にひめ鱒を放魚したことがある。しかしこの魚は3〜4年しか生きない。だとすると野尻湖で自然ふ化し育ったとしか考えられない。昨年から今年にかけて野尻湖には20万尾近いひめ鱒が放魚された。この高原の美しい湖でかれらはぐんぐん育っていくだろう。
湖や川によって同じ魚でも全然味が違うという。
「野尻湖のわかさぎはどの湖よりうまいよ。」
そのうまさは定評がある。水とえさのせいだろう。

野尻湖に二つの島
「島が2つ?」
「うそいえ島は1つだ」
いや二つある。一つは弁天島。土地の人はお島と呼ぶ。形が琵琶に似ているので琵琶島ともいう。もう1つは琵琶島の少し南。ただし夏は水面にかくれて見えない。冬渇水期は姿を見せる事もある。弁天島より大きいという。この幻の島の下に幻の竜宮がある。
もう一つ幻の話。弁天島には昔橋がかかっていた。長さ約516メートル巾は4、5メートル木造りの立派な橋である。見事だったろう。明治半ばのことである。緑に包まれた弁天島と対岸(立が鼻)にのびた橋がまるで野尻湖にかかった虹のように浮かんでくる。

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 ぼーしやJAM工房