ジャムと言えば“いちごジャム”だったんじゃないでしょうか? 子供の頃、いろいろのメーカーが作ったイチゴのジャムを食べた記憶があります。
ただ、透き通った赤いゼリーの中に赤黒いイチゴの種の様な物が浮いていました。そしてとっても甘くて(甘いのに文句は無かったのですが)イチゴだと思われる味がしていました。
先ほども書いたように文句は無かったのですが、これがイチゴだと思うのはラベルにイチゴの絵が描いてあってイチゴと書いてあるからだけだったんです。
その様な訳で、ぼーしやJAM工房では、イチゴの数がジャムのビンの中で数えられるジャムを作ろうと思いました。
イチゴのジャムを考え始めた頃、イチゴの農家は北信濃に以外に少ないので驚きました。長野市のイチゴを育てている 有機農家と知り合ってほっとしたのを覚えています。
大きなビニールハウスの中で室温湿度などをコントロールしていました。イチゴはしゃがんで摘まなくてもいいように腰の高さで栽培されています。これは自分が掘割の中を歩くのではなくて畑が高くなっているんです。考えてますよね。これなら収穫は楽です。
「ビニールハウスの中なら環境管理ができるので除草剤、殺虫剤は使わなくてもきるんだよ」
「殺菌剤は、数回使うけれどこれも止められそうだね」
随分前に(年は不確かです)アメリカの砂漠で宇宙ステイションの中で植物栽培ができるように実験していた事を想い出しました。確か科学者がドームの様な密閉空間に暮らして その中で植物を育てていたのです。彼らは研究期間
中は外に出ないことになっていたはずです。その時は何かの理由で成功はしなかったのですが そのあとも続いていたはずですね。この話と写真を見たときには宇宙が近くなったと感じました。まるでサイエンス・フィクションの世界みたいでした。
水耕栽培が行われていますね。水耕栽培って最初に聞いた時にはびっくりしました。
「稲が代表的な水耕栽培植物だよ」
「ああ、そうなんだね」
「養分を根っこが吸い上げてくれればいいわけだからね。」
水耕栽培の歴史は意外と古くてバビロン(紀元前8-6世紀)アステカ(1428-1521)古代エジプト(紀元前372-287)にもあるようです。植物が養分を根から吸い上げるって 人が食事を口からとるってことですよね。食事が提供されればどこで食べたって良いわけです。それがチューブに入っていれば宇宙空間だって。
「ああ、人も植物も同じってことだね」
「根っこが地面から離れればどこへ行ったって良いんだよ」
「成長に都合の良い所で育てれば良いんだね」
当たり前に自然な気候の中で暮らしていれば、野菜や果物が食べられるのは結構贅沢な事だなといろいろの所で暮らしてみると思います。沖縄では夏は暑くて野菜が育ちませんでした。信濃町の冬は雪の下になってしまいます。カナダでは夏は雨が降らず水が無いので多くの所で野菜がありません。冬は寒いし、乾燥しすぎればダメです。
土は素材であり、生育に必要な養分が研究されれば、今はやりの野菜工場は、こんな流れから当然できますよね。
地球表面の適した環境を用意してやれば 育つのですね。逆に言うとどんなにしても地球の表面の環境から離れられないってことですが。
イチゴの品種改良が進み酸味の無い甘い種類が多くなっています。これはジャム屋にとっては困ったことです。酸味のバランスを失わないでほしいのです。
「レモンでもなんでも入れればいいじゃないか」
と言われますが
「“苺”のジャムから“苺とレモン”のミックスジャムになっちゃうよ」
「だいたい長野の北にはレモンが無いんだから」
屁理屈のように聞こえるかもしれませんが。ぼーしやJAM工房はこんな感じです。
長野市の農家がイチゴ栽培を辞めてしまい 上記の理由でしばらく途方にくれました。
今は標高の高い所で栽培されている“夏イチゴ”を使っています。マルハナ蜂による受粉をしていて山の斜面にある気持ちの良い畑です。
イチゴがポピュラ―になったのは1800年代のようです。オランダから入ったんですね。今みんなが食べているイチゴはオランダイチゴです。
それが本格的に栽培され始めたのが明治時代です。そしてさらに飛躍したのは第2時大戦後の事です。食事が西洋風化してきてからの事ですね。
イチゴジャムを日本で最初に会社として販売を始めたのは明治の10年代 長野県の会社だそうです。それが製品としてのジャムの始まりだったんですね。こんなところからも長野県はジャム作りが盛んになったようです。
イチゴ
バラ科 オランダイチゴ属
生食100g中
カロリー 33 kcal
炭水化物 7.68g
糖類 4.89g
食物繊維 2g
脂肪 0.3g
たんぱく質 0.67g
ビタミンB1 0.024㎎
B2 0.022mg
B3 0.386mg
B5 0.125mg
B6 0.047mg
コリン 5.7mg
ビタミンC 58.8mg
ビタミンE 0.29mg
ナトリウム 1mg
カリウム 153mg
カルシウム 16mg
マグネシウム13mg
リン 24mg
鉄 0.41mg
亜鉛 0.14㎎
マンガン 0.386㎎