梨のジャムを2011年に作りました。梨には香りが無い、そう思っていました。あのミズミズしさと甘さ、そしてかじった時の独特の歯ざわりが梨のイメージだと思っていたわけです。
作ってみると甘さが 桃とは違った面白みがあり、お砂糖無しで行ってみる面白みもありました。
無加糖のジャムをジャムと呼べるかどうかはとも角として、その果物だけが持つ物で仕上げると、なぜか優しくて抵抗の無い味わいになると感じます。それって違った物を合わせる事は、梨なら梨と違った物を作り出すので個が持っている何かを消してしまうのかも知れません。
ジャムと言う形で 砂糖なり他の甘味の物であれ それを果物と合わせます。その最も味を引き出す甘さをぼーしやJAM工房は探しています。そういう意味で この無加糖・梨ジャムは意味深いチャレンジだったですし、発見でした。
この年は、東日本の大地震があった年でした。多くの方が津波による被災をしていたのを見て僕たちも苦しみました。そして原子力発電所の爆発、これによって 農業生産物に対する危惧も起こりました。それは、300km程離れていて高い山を挟んではいるのですけれど ぼーしやJAM工房にとっても大きな危惧だったのです。今後、果物がどうなるのかが未知数になってしまいました。
6月にその頃京都大学と一緒に全国で放射能調査をしていた環境科学の専門家の関口鉄夫さんに工房のまわりの放射能調査をお願いしました。農地、宅地まわりはほぼ放射能を確認できませんでしたが、屋根から雨水の落ちる所は放射能を確認しました。
つまり雨水に交じって放射能は落下したのですね。全体としては薄いものだったのですが、屋根から落ちることで集められ濃くなったわけです。
世界の国で日本の一部地域からの農産物輸入停止がありましたが、これは日本の人々には直接の問題でした。この問題をどの様に考えるのか、どうするべきなのかを話し合いました。
それで、他の会社の意見も聞いてみたりしました。
「今回の放射能問題でお宅はどういう対応をされますか」
「うちは数年前からすべて中国産にしたから大丈夫」
「アッそうですか」
と言う笑い話もありましたが。
それから直ぐに長野市内に私設の放射能測量所を作ってくれた方があったので、新たに作ったジャムを持って行って調べました。なぜジャムを持って行ったかと言うと、ジャムは果物を煮詰めて濃縮するからです。(この結果はジャムの欄に乗っています)
加工業者が今後、仕事を続けていけるのは、徹底的に調べて公表することだと考えたんです。その上でお客様に選んでいただくしか方法が無いというのがぼーしやJAM工房の結論でした。
それから直に工房の近くの柏原に測定所がヒューマン・シールド神戸の吉村さん夫婦の好意でできたので、一連の検査は3年間続けました。
3年間で放射能を検知したものが1件これは梨ジャムでした。これは販売を止めたのでまだ、工房の物置の隅にあります。
友人の姫野洋三氏が原子力発電反対の『若さの海』をずっと歌っています。彼のコンサートンを何年も前に工房の近くで行いました。なかなか好評でした。彼の歌は好きです。機会があったら聞いてください。
連れ合いのいとこがバンクーバーの大学でグリーン・ルーフを研究しています。電力などのエネルギーを考える時、代替えエネルギーと考えるだけで無くて、エネルギーをあまり使わない社会、暮らし方が選択されていいですよね。
そういう意味でビルを植物で囲むのはとても効果的だと研究されているのです。
それをすることで今までのビルでのエネルギー使用量の60%から50%に抑
えられるようです。もちろん植物を増やすことで、都市の気温を下げる効果や
酸素の供給量にも効果的ですよね。これを都市全体に広めれば大変な効果があ
ります。これに雨水の利用とかを組み込めば、もっと面白いですね。そんな研
究を彼女はしていて具体的に公共の建物に施され始めています。
なんて言ったって上から都市を見るとコンクリ—トの空き地だらけですから。
もちろんこれは日本の大学でも研究しているそうです。
昔の知恵の中にも、面白いものがあるかも知れませんね。例えば地下5m以下の温度は年間ほとんど変わらないので その温度を暖房と冷房に使うとか、これって昔どこかにあったと思います。その他にも水の流れを使ったり、風の通り道を考えた家の構造だったり。今風に応用できる事もあるでしょう。
いろいろの人や会社が新しいアイデアや試みをすることで活気が出るでしょうね。車の会社がガソリンでも電機でも無くて水素を使う試みはそろそろ実験車が出たのでしょうか? 屋根瓦がソーラパネルで充電器が家の中にあるシステムや、きっとまだいろいろあるでしょう、みんな考えてますね。
と言うわけで、梨のジャムを考えながら、僕たちにとってエネルギーって何だろうって思います。鉱物って地球ですよね。化石燃料って地球の遺産ですよね、それを掘り出して自分の物として売るってなんでしょう?
「それって、みんなの物なのじゃない」
と言ってみます。その皆の中には未来に生まれてくる人達も含まれますよね。
地球って誰の物でしょう?
そんな疑問が今、投げかけられています。
梨を山下さんに頂くようになって、ジャムから放射能を測定器で感知しなくなりました。ですが山で採れるある山菜からは今でも検出されていますし 暖炉の灰からも検出されます。
和梨
バラ科 ナシ属
中国原産
里山などにある野生種、山なしが原型だそうです。
日本で梨が食べられ始めたのは弥生時代だそうです。遺跡から種が見つかっています。“日本書紀”に5穀とともに栽培奨励種としての記載があるそうです。
梨には巨大な物があるようですね。”和漢三才図会“には落ちて来た梨に当たってイヌが死んだ話が載っているようです。びっくりしちゃいます。
梨
エナルギー 43kcal
炭水化物 11.3g
食物繊維 0.9g
脂質 0.1g
たんぱく質 0.3g
チアミン(B1) 0.22㎎
ナイアシン(B3) 0.2mg
パントテン酸(B5)0.14㎎
ビタミンB6 0.02㎎ ????
ビタミンC 3mg
ビタミンE 0,1㎎
カリウム 140㎎
カルシウム 2㎎
マグネシウム 5㎎
リン 11㎎
亜鉛 0.1㎎
銅 0.06㎎